株式会社読売旅行 インバウンドコンテンツ研修

業種:
官公庁・自治体
エンタメ・コンテンツ
教育
実施内容:
プランニング
PR
プロダクト
マーケティング
プロジェクト期間:
2024年1月
歴史を観光で終わらせない
観光庁「インバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた観光コンテンツ造成支援事業」の一環として、株式会社読売旅行から依頼を受け、鹿島海軍航空隊跡・予科練平和記念館・霞月楼などの関係者を対象とした研修を実施。
美浦村・阿見町・土浦市に点在する戦争・平和に関する文化遺構を、インバウンド観光客にも届くコンテンツとしてどう磨き、次世代へ残していくかをテーマに、パーパスの整理、関係者間の対話、コンテンツ設計、Web・SNS発信までを参加型で支援した。研修では「歴史と平和を学ぶコンテンツ造成」を前提にしつつ、その奥にある“何を伝え続けたいのか”を掘り下げている。
背景
●インバウンド誘客の前に「何を伝えるのか」を揃える
本事業では、霞ヶ浦周辺に残る戦争関連史跡をつなぎ、サイクリングと組み合わせた観光コンテンツとして国内外へ発信する構想が進められていた。
一方、「インバウンド向けにどうPRするか」を中にいる関係者だけで考えても、単なる翻訳や情報発信で終わってしまう可能性がある。
特に、戦争や平和というテーマは、正しい事実を並べるだけでは受け手の心には残らない。そこでイナヅマは、まず関係者自身が「なぜこの歴史を残したいのか」「どんな未来を望んでいるのか」を言葉にすることから始める必要があると提案した。
研修資料でも、目的を「インバウンドを加速させること」だけに置かず、歴史を生きて感じる現代人の肌感に目を向け、歴史と平和の“伝導者”としてのパーパスを見つめることをゴールに設定した。
施策
●3市町村の関係者が、本音から共通の目的をつくる
研修は、茨城県国際観光課によるインバウンドの現状や施策紹介と役割を分担し、イナヅマは「コンテンツづくり」と「関係者の目的整理」を担当した。
最初に行ったのは、観光商品を考えることではなく、参加者一人ひとりのパーパスの洗い出し。「社会から求められる役割」に引っ張られるのではなく、自分自身が何に心を動かされ、何を後世に残したいのかを考えるワークを実施した。資料では、歴史を「事実や整えられた感想」として伝えるのではなく、自分自身が感じた本音の学びと、こうあってほしい未来を語ることを重視している。
その後、美浦村・阿見町・土浦市という異なる立場の関係者同士で、それぞれの目的を持ち寄り、共通ブランドを考える対話を実施。役割や立場の違いを消すのではなく、ぶつけ合いながら共通項を探るプロセスを設計した。
さらに、目的を実際の観光体験へ落とすため、VRIOの視点を用いて「経済価値・希少性・模倣困難性・組織体制」からコンテンツを検討。最後にWeb・SNSの特性や、媒体ごとの発信方法まで解説し、パーパス → コンテンツ → 情報発信を一つの流れとして整理した。
成果
●「外国人にどう見せるか」から、「私たちは何を残すのか」へ
鹿島海軍航空隊跡、予科練平和記念館、霞月楼の関係者らが参加し、3市町村に点在する史跡を単なる観光スポットとして扱うのではなく、歴史と平和をどのような意味と体験として未来へ伝えていくのかを考える機会をつくった。
インバウンド施策を「英語化・多言語化・SNS活用」といった手段だけで捉えず、関係者自身の想いを起点に、共通の目的、目玉となる体験、適切な発信方法まで一貫して考える研修となった。
また、この案件は阿見町の観光協会で実施したブランディングセミナーをきっかけに読売旅行から相談を受けたもの。前案件での「組織の目的から観光を考える」アプローチが評価され、別地域・別事業へ展開した実績でもある。